介護保険制度は、社会保険の仕組みを用いて高齢者の介護サービスを提供するもので、介護の社会化を図るため平成12年から実施されています。
介護保険制度の保険者と被保険者ついてまとめました。
《保険者とは誰のこと?》
保険制度では、その仕組みを運営する組織を保険者といいます。
介護保険制度の保険者は、市町村(および特別区:東京23区)です。たとえば、沖縄県那覇市の住民の運営は那覇市が担っています。
保険者って介護保険を運営しているところを言うんだね!
《保険者は市町村なのか?》
介護保険制度の法的な枠組みや運営の基本的な規程は国が決めます。しかし、介護という問題は住民や地域の生活に密着した分野であり、地域ごとに異なる課題を抱えています。そのため、国が細かな点まですべて一律に決めるのは無理があります。
そこで、地域ごとの特徴を反映できる仕組みとするために、保険者は市町村単位と決められています。
ただし、保険制度は人口や財政にある程度の規模がある方が安定に運営できることから、近隣の市町村が共同で保険者となる広域連合や一部事務組合という形態もあります。
さまざまな問題で、市町村が共同で行っている場合もあるんだね!
《保険者の役割って?》
保険者の役割として最も重要なことは、財源について責任をもつことです。
そのために、まず被保険者の資格を管理すると同時に保険料を決定します。そして、介護サービスに必要な財源の支出(保険給付)を行っています。また、保険制度では保険給付の条件(保険事故)が定められており、介護保険制度ではその判断を保険者が行っています。
すなわち、保険者は被保険者に保険事故である要介護状態や要支援状態が起こっているかどうかの要介護認定という介護保険制度特有の認定業務を担うことになります。
その他に以下のような役割を果たしています。
- 被保険者の資格管理
- 被保険者台帳の作成
- 被保険者証の発行
- サービス事業者、地域支援事業に関する事務
- 市町村介護保険事業計画に関する事務
- 介護保険制度の運営に必要な条例や規則の制定や改正
- 地域包括ケアシステムの推進 など
《被保険者とは誰のこと?》
保険制度では、その仕組みに加入をする人々を被保険者といいます。
介護保険制度などの社会保険制度は、法律によって一定の条件の人々に加入が義務づけられています(強制適用)。国籍の要件はなく、外国籍であっても日本に在留資格があり住民登録をしていれば強制適用の対象となります。
介護保険制度には、第1号・第2号被保険者の2種類があり、被保険者も条件は以下となっています。
- 第1号被保険者:65歳以上 市町村に住所のある人
- 第2号被保険者:40歳以上65歳未満 市町村に住所のある人、医療保険加入者
なお、生活保護受給者の一部は例外的に医療保険に加入していないこととなっているため、40歳以上65歳未満の方は介護保険の被保険者とはなりません。
また、施設(障害者支援施設やハンセン病療養所、生活保護法の救護施設など)や医療機関に入所・入院中は適用除外となり、この場合も被保険者とはなりません。
障害者施設などが介護保険の適用除外になっているのは、長期に入所する人が多く、介護保険の給付を受ける可能性が低いのと、重度の障がい者が多く入所し(その施設が規定されている制度により)介護が提供されているといった理由からだそうです!
《なぜ被保険者は40歳以上なの?》
本来、介護保険制度は介護に関する助け合いの仕組みなので、被保険者が年齢で区切られるべきものではありません。しかし、介護保険制度の創設当初は介護という問題をすべての人々が身近に受け止めていた状況になく、議論の末、強制適用の枠を40歳以上とすることで落ち着きました。
自分の親に介護の不安が出てくる年代を以上を被保険者としたわけです。
《記事のまとめ》
医師事務として業務を行う上で必要な情報でもありますが、日常生活上でも必ずといっていいほど必要な情報となってくると思います。自分の親に介護の不安が出てくる前に知っておきたいですね。