医療文書を作成してはいるものの、本当にこれでいいの?注意しないといけないことは?

それぞれ作成時に気をつけていることを説明します。

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《医療文書って?》

そもそも医療文書とは、

患者に対して発行する診断書や保険会社に提出する入院手術証明書等のことをいいます。
一括りに医療文書といってもその種類はたくさんあり医療文書はこれとこれです!といえるものはありません。

この医療文書を作成するのが医師にとってはとても業務負担になっているので医師事務に業務が流れてくることが多いようです。

とはいっても医師事務が医療文書を作成してはいっ!完成!というわけではなく、最終的には医師が内容を確認し承認をもって完成!となります。なので当院では医師事務が作成した医療文書に関してはすべて医師に署名をしていただいています。

 

《医療文書全般》

医療文書を作成するのに一番重要なのは、

 

事実に基づき作成するということです。
その事実に基づきとはカルテに記載されているかどうかです。

 

ある部分は看護師に聞いて作成したとしてもそれは口答で聞いたものなのでカルテには記載されていません。もし、その医療文書を第三者が確認する時に行うことはカルテとの照合です。

 

実際、行っていたとしてもカルテに事実が記載されていなかったら、行っていないことと同じです。憶測や~だろうといった状態では作成せず、医師に確認しその事柄が事実であればカルテに追記してもらう等を行った方がいいと思います。

 

次に重要なのは、
その文書の使用目的を把握した上で、目的に応じた表現で作成するということです。

例えば、手術のために仕事を休むことになり職場に診断書を提出しなければならない時、診断書に手術予定日だけを記載しても職場側からしたら、手術をすることは分かっても仕事をどれぐらい休むのかが分からない状態となってしまいます。

 

なのでこの時は、およその入院期間を記載し、退院後の自宅療養が必要と考えられる場合はその旨も記載するようにします。

《入院・手術証明書(診断書)》

この文書はどこの医師事務でも関わっていることが多いと思います。

 

各保険会社ごとに書式も違っていますが、電子化が進んでおりその保険会社に合わせた文書を作成できる専用ソフトも普及しているようです。

 

しかし、当院では専用ソフトを導入してもらえず(金銭面?)手書きといくつかの保険会社では当院独自の書式でも可能であるということでエクセルで作成しています。

 

エクセルで作成する分にはカルテを読み込み作成していけばいいのですが、手書き作成となると最初からボールペンで作成するわけにはいきません。もしその状態で医師に確認していただき修正がたくさん生じた場合(あまりあってはいけないですが・・)訂正印だらけの文書となってしまいます。

 

なので、下書きした状態で医師に確認していただき、その後に清書をしています。

 

文書の内容が少なければそんなに負担ではないですが、1回に数十件の作成だったり、1枚にたくさん文字を記入しないけいけない時はすごく大変で腱鞘炎になるかと思うぐらいです。

 

金銭面で導入してもらえなった状態ではありますが、業務がどんどん増える医師事務の業務効率化について熱く語り、導入してもらえないか再度挑戦してみたいと思います。

 

少し話がズレてしまいましたが、
入院・手術証明書で気をつけていることは、当院で行ったことしか記載しないということ。

 

たまに、
「あっちの病院で手術してるけど、あなたのとこでも手術したことは分かってるんだから記載してよ~あっちにもらいにいくの大変だしお金もかかるから・・」と言う方がいます。

確かにお金もかかるし大変なのも分かります。だからといって記載していいものではないのです。前述のとおりその事柄が証明できるかなので、他院で行った手術は知っていてもそれを証明するものは当院にはありません。また、当院に通院・入院している期間以外の記載もできないので、そこは丁寧に説明し患者に理解してもらうようにしてください。

 

次に気をつけていることは、
手術・処置等の記載です。入院・手術証明書だから、その部分だけを記載すればいいと思われがちですが、保険の中には処置や検査、通院・検査でも保険の請求ができものもあります。

 

大体、文書の依頼をする前に患者と保険会社で話が進んでいて、保険会社側がどの行為を行っているかが分かっていたりしますが、そうでない場合、病院側がある処置の記載も漏れていた等のことがあった場合、せっかくもらえるはずだった保険がもらえなかったり・・ということが生じてしまいます。

 

また、がん等の病名を本人に告知していない場合もあるかと思います。告知されてないから記載しなくていいわけではないですが、告知されているか確認していない状態でこの文書を取扱い、何かのきっかけで本人に病名が知れてしまうということも可能性はゼロではありません。

 

なので文書を取り扱う時は、細心の注意が必要です。

《介護保険 主治医意見書》

この文書は介護サービスを保険給付で利用するのに必要な文書となります。要介護5とか要支援2とか耳にしたことがあると思います。

 

ここで気をつけていることは、まず介護の視点で記載するということです。病状も大事ですが、その方の身体的状況や(どのぐらい歩けるか等)、認知機能(徘徊や問題行動等)の状況を記載する必要があります。

 

なかなか診療の中では自宅での様子等が分からないため、ケアマネージャーやご家族等に近況を教えてもらうために予診票を記載してもらいます。

 

また、介護保険というのはお年寄りのイメージがあると思いますが、お年寄りだけではなく40歳以上65歳未満の方である特定の疾患がある方にも(第2号被保険者という)該当する場合があります。

その時には、介護の視点だけではなく病状も(その診断の根拠等)記載しなければなりません。

 

次に気をつけていることは、作成期限です。
他の文書でも気をつけなければいけませんが、この文書は市から依頼があるものでこの文書とは別に認定調査といって実際に調査員が患者の所に訪問して心身の状況を確認します。

 

それぞれの結果をもとに審査会という判定会が行われ要介護、要支援の結果がでてくるのです。なので、この文書が遅れてしまうとその方の判定会が開かれず、要介護の認定ができないという状態になり介護サービスに影響が生じる可能性があります。

 

病状が悪化してしまい作成が遅れる場合もありますが、なるべく早急に記載するようにしています。

《臨床調査個人票》

この文書は特定疾患(難病)で公費負担を受けようとするのに必要な文書となります。

 

平成29年4月より対象の疾患も増え、所定の書式もリニューアルされました。

平成29年4月以前は新規申請と更新申請とで書式も分かれていましたが、現在はどちらも同じ書式となっています。新規申請の場合は、当院で診断しているわけなので、検査結果や診断根拠等を記載していけばいいですが、他院で新規申請され、その後当院で治療を行い更新申請を場合が少し厄介です。

 

まず、その方の新規申請(初回診断)の状況が分からなかったりするので、以前作成した病院に問い合わせし、文書の控えを取り寄せをしています。当院では医療連携室があるのでそちらにお願いしています。

 

疾患により書式が全然違うので、それぞれの診断基準等を確認しておくといいと思います。

《記事のまとめ》

文書を作成していく中で、そんなに調べてもどうしてもこの部分が分からないということもあると思います。

そんな時は医師に分からないことを伝え記載してもらうようにしています。

ちょうどタイミングよく暇~な時だと「この疾患はね~」と疾患について教えていただけるときもあります。それとは反対で忙しすぎて機嫌が悪いのかムスッとされる時もありますが、

 

そんな時もあるさ!人間だもの!
ぐらいな感じで気にせず少しずつ距離を縮めていったらいいと思います。

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