名前は聞いたことあるけど、あんまり意識したことがないし
どこにあって、どんな機能なのか分からない
そんな脾臓の病気についてまとめました。

 

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《脾臓の役割》

脾臓は、重さは約120gで握りこぶしほどの大きさです。お腹の左上、肋骨のすぐ下に位置します。

血液中の古くなった赤血球を壊す働きをしています。

血液には全身に酸素を送るという働きがあります。その中で実際に酸素を運ぶ機能が赤血球です。しかし、赤血球の寿命は3ヶ月といわれており、古くなった赤血球は柔軟性を失い、狭い血管を通ることはできません。こうした古い赤血球を脾臓内の網目構造に引っかけて破壊し、取り除くのが脾臓の働きです。

 

また、血小板を蓄える働きがあります。その貯蔵量は全血小板の約3分の1です。血小板とは血液に含まれる成分の一つで、止血や血液凝固の際に極めて重要な働きをします。出血した時や運動の時など、酸素を必要とする時に、必要に応じて脾臓から血小板が放出されます。

 

その他に、脾臓には細菌や異物からカラダを守る免疫機能の働きもあります。脾臓には全身の☆リンパ球の約4分の1が集まっており、体内で最大のリンパ器官と言えます。

☆リンパ球とはリンパ組織の構成成分で、体内に侵入してくる細菌や異物、体内のがん細胞などからカラダを守る働きをします。

《特発性血小板減少性紫斑病》

 

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は血小板減少を来たす他の明らかな病気や薬剤の服薬がなく血小板数が減少し、出血しやすくなる病気です。国が指定する難病(特定疾患)の対象です。

 

病気が起こってから6ヶ月以内に血小板数が正常に回復する「急性型」は小児に多く、6ヶ月以上血小板減少が持続する「慢性型」は成人に多い傾向にあります。また、血小板数が10万/μL未満に減少した場合、この病気が疑われます。

 

 

原因としては、何らかの原因で血小板膜上の糖蛋白に対する自己抗体(自分自身の血小板を破壊する抗体:血小板抗体)が産生され、血液中で血小板に結合します。この血小板抗体が結合した血小板は脾臓などに取り込まれ、マクロファージという細胞に貪食・破壊され、血小板が少なくなる現象が起こります。また、この血小板抗体は骨髄での血小板産生能も障害し、血小板産生を低下させるといわれています。なぜ自己抗体ができるのかについては、はっきりしたことはわかっていないのが現状です。

 

血小板は、出血を止めるために非常に大切な役割を果たしている細胞です。なので、この数が減ると出血し易くなり、また出血が止まりにくくなり、次のような種々の出血症状がみられます。

・点状や斑状の皮膚にみられる出血
・歯ぐきからの出血、口腔粘膜出血
・鼻血
・便に血が混じったり、黒い便が出る
・尿に血が混じって、紅茶のような色になる
・月経過多、生理が止まりにくい
・重症な場合は、脳出血

ただし、いずれの症状もこの疾患に特異的なものではありません。

 

治療としては、血小板数や出血症状の有無、ライフスタイルに応じて、治療をするかしないか、どのように治療を行うかが判断されます。

 

治療では、血小板数の数値目標を設定し、血小板数を少なくとも3万/μL以上に維持できるようにします。また、他の治療で外科的処置が行われる場合や出産時などは、一時的に血小板数を増加させる必要があります。

 

治療目標は、血小板数10万/μL以上を維持でき、出血症状がない状態が理想ですが、治療中止(休薬)、あるいは維持量で少なくても血小板数3万/μL以上、かつ出血症状が認められない状態を目指します。

 

治療の流れは、ピロリ菌陽性である場合、抗菌剤でピロリ菌の除菌を行うと半数以上で血小板数が増加することから、ピロリ菌が陽性の場合、まず除菌療法を行なうことを勧められています。

 

一方、除菌療法の効果のない場合やピロリ菌陰性では、第一に副腎皮質ステロイドが使われ、血小板数や症状をみながら徐々に減量していくのが一般的です。副腎皮質ステロイドが無効な場合や、副作用のために治療の継続が困難な時には、手術で脾臓を摘出することもあります。

 

また、新たな治療薬として血小板増加薬がでており、脾臓摘出が無効の時や難治性の場合にはこれらの新薬を試す場合もあります。これらの新薬としては、経口薬であるエルトロンボパグと皮下注製剤であるロミプロスチムの2種類があり、血小板の産生を促す作用を有しており、ITPに対して優れた効果が示されています。

 

しかしながら、これらの新薬はITPの病気を治す薬ではなく、血小板を増加させる薬なので薬を継続して服用あるいは皮下注射する必要があります。

 

その他の治療としては、アザチオプリンやシクロホスファミド、シクロスポリンなどの免疫抑制剤、ダナゾールなどを用いることがありますが、これらの薬剤は保険適応外での使用となります。また、ガンマグロブリンを使った治療も、一過性の効果しかないことが多いですが、有効率は高いので、脾臓摘出など手術の前や緊急時などによく用いられます。

 

日常生活での注意すべきことは、風邪などウイルス感染を契機に出血症状が増悪する場合があるため、出血症状が増悪する場合は病院を受診してください。また、発熱時に鎮痛剤、解熱剤を使用すると、血小板の機能を弱めるため出来る限り服用を避けることが必要です。

 

血小板数のみにとらわれずに、皮膚に点状出血が増えていないか、口腔内に血腫ができていないかを観察して、病気の状態を把握するように努めてください。

 

また、軽い運動は可能ですが、打撲するようなサッカーや剣道、柔道などのスポーツは避ける方が良いです。

《脾腫》

脾臓が腫れて大きくなったものを脾腫といいます。脾臓自体の病気ではなく、他の病気の影響によって起こります。

主な原因は以下のものがあります。

1.マラリア、腸チフス、パラチフス、敗血症、感染性心内膜炎、亜急性・慢性の全身感染症、
梅毒、肝炎などの伝染性の病気
2.脾臓が日本住血吸虫、ジストマ(吸虫類)、エキノコックスなどの寄生虫に
おかされたり、膿瘍ができたとき
3.バンチ症候群、肝硬変や門脈血栓症などによる門脈圧亢進症などのとき
4.白血病、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、血友病などの血液の病気
5.ゴーシェ病、ニーマンピック病などの代謝異常
6.慢性膵炎や胃がん、膵がんなどによる脾静脈の狭窄や閉塞
7.脾腫瘍(原発性、転移性)
8.脾嚢胞
9.脾被膜下血腫         があげられます。

 

症状としては、左上腹部の腫れぼったいじ、軽い痛みを訴えることがあります。その他、呼吸困難、吐き気、吐き戻しなどが現れることもあります。腹壁にちょっとした外力が加わっただけで、脾臓破裂になることがあるので注意が必要です。脾機能が亢進するため血小板の破壊が亢進し、血小板減少による出血傾向がみられることもあります。

 

 

治療としては、脾腫の原因となった病気を治療します。バンチ症候群、門脈圧亢進症、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血などは、脾臓を取る手術をすると非常によくなります。脾臓の摘出術は、腹腔鏡下手術でも可能です。

 

慢性膵炎や胃がん、膵がんなどによる脾静脈の閉塞では脾腫が生じるほかに、胃噴門部から穹窿部後壁にかけて静脈瘤も発達します。これらのがんでは、がんそのものの手術時に脾臓の摘出が行われます。慢性膵炎では脾臓の摘出と胃脾間膜の切り離しによって胃静脈瘤も治療することができます。

また、放射線療法で脾臓を小さくすることもあります。

《記事のまとめ》

これで少しは脾臓について理解できたでしょうか?

今回まとめた病気以外にもまだまだあるので、今後も少しずつアップしていきたいと思います。

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