医療文書の代行作成は、全国の医師事務さんのほとんどが携わっていると思います。文章の構成をどのようにするか、悩みますよね・・。しかし、ちょっとしたことで、読み手に優しい医療文書にすることができます!

そんな医療文書のちょっとした解決方法をまとめてみました。

 

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《患者さんの情報は宝です》

医療文書の種類はたくさんありますが、患者さんの状態やその背景などを含めて記載しないといけないものもあります。特に診療情報提供書や退院時サマリーなどはその中身の質が大きく左右されます。文章の表現方法が違うだけで、事実とは違う解釈にとってしまうこともあります。

 

診療情報提供書や退院時サマリーなどの医療文書は、担当した医師ではなく、第三者が見る機会が多いものです。

 

退院時サマリーで例えると、先週まで入院していた患者さんが、夜間に救急搬送で来院された場合、その夜間に対応した医師が入院中の担当医師であれば、その方の状態が頭の中にあるので、スムーズに診療を開始することができます。

 

しかし、今までその患者さんに携わっていない医師だった場合、その方が何で先週まで入院していたのか、既往歴はあるのかなど患者さんを診察しつつ、情報も確認しないといけません。

 

それを、入院カルテを隅から隅まで読んでいくのは、とても効率的とは言えません。なので、その方の入院期間の状態が分かるようにまとめられたものが退院時サマリーなのです。今回は、文章の表現方法でどれだけ違いがあるのかを以下に記してあります。

 

《表現方法でこんなに違う?!》

ケース1 患者さんの経過

誤嚥性肺炎を機に入院。摂食嚥下機能の低下があり、栄養状態も悪く、胃瘻造設を行った。しかし、ご家族がどうしても口から食べてほしい!という願いがあり経口食を開始された。

このケースで下線部分を医療文書に記載する場合、

 

勘違いされやすい表現方法:ご家族が希望された経口食を開始した。

 

この場合、ご家族が経口食の種類を言っているように解釈される可能性があります。
しかし、これを【ご家族が経口食を希望され、〇〇を開始した。】と変えるだけで事実と同じ表現方法となります。

 

 

 

ケース2 患者さんの経過

元々、施設に入所中。心不全の増悪のため入院。治療を行い状態安定したため〇月〇日退院。元の〇〇施設に再入所。

このケースで下線部分を医療文書に記載する場合、

 

勘違いされやすい表現方法:〇月〇日退院。今後は〇〇に再入所。

 

この場合、患者さんの全体像を知っている人が読んだら、何も問題はなく解釈できると思いますが、入院前、入院時の状態を知らない人が読む場合は、今後という言葉が先行してしまうので、入院する前と違う所に退院する?!とイメージさせてしまいます。

 

なので、ここではあえて今後という言葉は使用せず、

〇月〇日退院。〇〇に再入所。】とするだけでいいと思います。

 

 

 

ケース3 患者さんの経過

認知症とある疾患の長期臥床により廃用症候群を来たし入院。リハビリを行って独歩可能な状態となり退院。

このケースで下線部分を医療文書に記載する場合、

 

勘違いされやすい表現方法:〇月〇日よりリハビリを開始。認知症があり、記憶力の低下がみられるが、歩行は独歩で可能となっており、病棟内では見守りとした。

この場合、記憶力の低下が歩行できるかできないかに関係しているのかというような表現方法になっています。

 

また、この文章を①認知症があり、記憶力の低下がみられるが、②歩行は独歩で可能となっており、③病棟内では見守りとした。と区切って見てみて下さい。

 

文章は①から順に読んでいきますので、①認知症、②独歩は可能、③病棟内では見守りとなります。

それを頭の中で理解するとなると、①認知症がある、②独歩はできる、③病棟内では見守り・・・うん?病棟内では見守り・・歩けるのになんで?となってまた、①に戻らなければいけません。

 

なので、これを【〇月〇日リハビリを開始。歩行は独歩で可能となったが、認知症による記憶力の低下がみられるため、病棟内では見守りとした。

として①〜③の順番を変えるだけで読み終わった文章に戻らなくてすみ、頭の中でスムーズに理解できます。

 

《記事のまとめ》

このように少し表現方法を変えたり、言葉を削るだけで、読み手に優しい文章になります。

勘違いさせる表現がきっかけで、話がどんどんずれていくということも考えられます。

医療文書は患者さんの命にも関わる部分なので、慎重に言葉選びをしていきたいものです。

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