最近、トイレが近いしスッキリしない・・

膀胱の病気についてまとめました。

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《膀胱の役割》

膀胱は骨盤内にある平滑筋と呼ばれる筋肉でできた臓器で、腎臓でつくられた尿が腎盂、尿管を経由して運ばれたあとに、一時的に貯留する袋ようなものです。

 

膀胱には、尿が漏れ出ないよう一時的にためる働き(蓄尿機能)と、ある程度の尿が溜まると、尿が溜まったという信号が末梢神経から脊髄、大脳と伝わり尿意を感じ尿を排出する働き(排尿機能)があります。

 

膀胱に尿を溜めておける量は男女差がありますが、平均で400〜500mlとされています。女性は子宮はある関係で、男性の8割程の量しか溜められません。個人差が大きく体の大きさに比例するものでもありません。

また、1回の排尿量は気温や体の水分量などにも影響を受けてしまうので、一定ではありません。また、膀胱を含め、腎盂、尿管、一部の尿道の内側は尿路上皮という粘膜で覆われています。

膀胱内に炎症やがんが発生していると、排尿障害や血尿となって現れることがあります。

《膀胱がん》

膀胱がんは、膀胱の内部は移行上皮細胞と呼ばれる細胞で覆われており、それががん化することによって引き起こされます。

 

そのうち大部分(90%以上)は尿路上皮がんという種類ですが、まれに扁平上皮がんや腺がんの場合もあります。男性は女性に比べ約4倍多いとされ、男女ともに60歳以降で増加し、40歳未満の若年では低い傾向です。また、国際比較では、欧米白人で高く、日本人を含む東アジア系民族では低い傾向があります。

 

 

症状としては、 肉眼的に赤色や茶色の尿が出ることが最も一般的な症状です。一般的に痛みなどを伴わない無症候性です。また、頻繁に尿意を感じる、排尿痛がある等の膀胱炎のような症状があることもあります。この場合、抗生剤を服用してもなかなか治らないことが特徴です。その他に膀胱がんが広がり尿管口を閉塞するようになると尿の流れが妨げられ、尿管や腎盂が拡張してくることがあります。これを水腎症と呼んでいます。

 

水腎症になると背中の鈍痛を感じることがあります。尿管結石でもこのような症状を呈することがあります。

 

原因としては、喫煙、染料や化学薬品を扱う職業で発生頻度が高くなっています。長期間膀胱結石があったり、膀胱周囲の血管系に寄生するビルハルツ住血吸虫症に感染していたりすると、慢性的な刺激により発がんすることがあります。

 

 

診断は画像診断や経尿道的膀胱腫瘍切除術による確定診断により、1.筋層非浸潤性がん(表在性がんおよび上皮内がん)、2.筋層浸潤性がん、3.転移性がんに大別されます。

 

1.筋層非浸潤性がんは膀胱筋層には浸潤していないがんで表在性がんと上皮内がんが含まれます。表在性がんはカリフラワーやイソギンチャクのように表面がぶつぶつと隆起し、膀胱の内腔に向かって突出しています。この形態から、乳頭状がんと呼ばれることもあります。

 

表在性がんの多くはおとなしく浸潤しないがんですが、中には放置しておくと進行して浸潤がんや転移を来す危険性のあるハイリスク筋層非浸潤性がんと呼ばれるタイプのものもあります。上皮内がんは、膀胱の内腔に突出せず、粘膜のみががん化した状態をいいます。粘膜は上皮とも呼ばれ、上皮内のがんという意味で上皮内がんと呼ばれています。

 

 

2.筋層浸潤性がんは膀胱の筋層に浸潤したがんです。このがんは膀胱壁を貫いて、壁外の組織へ浸潤したり、リンパ節や肺や骨に転移を来す危険性があります。

 

 

3.転移性がんは原発巣の膀胱がんが、他臓器に転移した状態をいいます。膀胱がんが転移しやすい臓器としては、リンパ節、肺、骨、肝臓等があります。治療としては、進行度等によって違いますが、経尿道的腫瘍切除術 (TUR-Bt)、膀胱内注入療法、膀胱全摘術、尿路変向術等があります。また、化学療法と放射線治療の併用が行われる場合もあります。

《膀胱炎》

膀胱炎は、膀胱に炎症が起きる病気です。その多くは細菌が尿道を逆上って膀胱に入り、膀胱内で増殖することによって生じます。(単純膀胱炎)

 

女性が膀胱炎になりやすいのは、尿道が短いため、細菌が膀胱内に侵入しやすいからです。細菌の侵入と増殖が原因で起きる膀胱炎以外に、ウイルスや排尿障害・前立腺肥大・尿路結石・腫瘍等に起因して生じるがあります。(複雑性膀胱炎)この場合、感染原因や治療方法は単純性膀胱炎とは全く異なり、まずは根元にある疾患の治療が必要です。

 

その他に、筋肉は萎縮する間質性膀胱炎や膀胱粘膜に袋状の病変が発生する嚢胞性膀胱炎、かびの感染によって起こる真菌性膀胱炎があります。

 

 

症状としては、頻尿、排尿痛、残尿感、尿混濁や血尿です。膀胱炎では通常、熱は出ませんが、熱が出たり、腰痛があったりする場合は、細菌が腎臓の腎孟まで炎症が広がり、腎孟腎炎になっている恐れがあります。膀胱炎は膀胱内に細菌が侵入し、増殖することが原因で発症します。しかし、膀胱に細菌が入ってしまったからといって膀胱炎になるとは限らず、体が健康な状態であれば、細菌が侵入したとしても、体の持つ抵抗力で増殖が抑えられます。

 

しかし、睡眠不足や精神的ストレス、疲労等によって抵抗力が弱まっていると、侵入してきた細菌が増殖しやすくなり、膀胱炎が発症しやすくなります。 このほか、月経の前後や性行為後等、陰部に細菌が繁殖しやすい状態にあるときも、膀胱炎に感染しやすくなります。

 

 

治療としては、抗生剤使用が効果が高く用いられます。また、尿量が少なく、膀胱に溜まっている時間が長いと膀胱内で菌が繁殖しやすくなるので、水分を十分に摂取して尿量を増すことにより、症状が緩和されます。

 

女性の場合、ホルモンの低下や冷えによって、膀胱炎を繰り返してしまうことが多いので、漢方薬の治療を行うこともあります。

 

 

予防としては、水分を多めに摂り尿量を増やすこと、排尿を我慢しない、過労や冷えに注意し体を清潔に保つことです。また、からし、唐辛子等の辛いもの(刺激物)やビール、みそ、チーズ類(発酵食品)、コーヒー、紅茶(カフェイン食品)、炭酸飲料、酸味の強い果物(酸性食品)は避けるようにしましょう。逆にスイカ(むくみや腎機能が低下時の利尿効果として)やしょうが(体を温め、抗菌作用)を摂るようにしましょう。

 

膀胱炎の背後に、重大な病気が隠れていることがあります。

特に、男性の膀胱炎では、前立腺肥大症や膀胱がんが潜んでいる可能性があります。女性でも、膀胱炎を繰り返す場合や、なかなか治らない場合には、腎臓や膀胱の病気に注意が必要なので専門の泌尿器科医の診察を受けるようにしましょう。

《記事のまとめ》

膀胱炎を繰り返した女性に話を伺ったことがあります。その人は頻尿や排尿痛が主な症状だったみたいです。恥ずかしいので膀胱炎と職場の人にも言えず、頻回にトイレに行くためさぼってるんじゃないかと思われるのが嫌だったそうです。

 

抗生剤で治療をして治ったとしても仕事がらなかなかトイレにいくことができなく結果、膀胱炎を繰り返してしまったようです。その人は毎回病院を受診し治療を受け、日常生活に気をつけていたら繰り返さなくなくなったそうです。

 

なので膀胱炎になりやすいからといって自己判断で膀胱炎と決めつけずに早めに病院を受診するようにしてください。

そして、膀胱がんの治療で尿路変向術はQOL:クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)に大きく関わってきますので、事前に担当医や看護師の説明を繰り返し聞いて十分理解し、納得して選択することが大切です。

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