医師事務のグレーゾーンな業務についてまとめました。
《医師事務の行ってはいけない業務とは?》
施設基準上で、医師事務が行ってはいけない業務は以下になります。
- 医師以外の職種の指示も下に行う業務
- 診療報酬の請求染む(DPCコーディングに係る業務を含む)
- 窓口、受付業務
- 医療機関の経営
- 運営のためのデータ収集業務
- 看護業務の補助並びに物品運搬業務
このように行ってはいけない業務がざっくりと定義されていますが、その中身に具体的な定義はなく、その判断は病院に委ねられている状況です。
しかし、病院での判断、解釈だけで医師事務作業補助体制加算が算定できるかというとそうではなく、最終的には厚生労働省の判断となるので、定義に違反していると判断された場合には、診療報酬の返還などの可能性もでてきます。
《医師事務の疑問》
これはとても境界線が引きにくいですよね。はっきりとしたものはないですが、例であげると、診療録管理体制加算で求められている「ICD大分類度以上の疾病分類」に基づく疾病統計などは、診療に関するデータ収集になるかもしれませんが、医師がそれをどのように診療活動に結びつけるのか不明瞭です。
また、「診療科別の未収金一覧」のようなデータも。それを医師が診療に反映させる要素がありません。したがって、医師が自ら行う要素はほとんどなく、医師事務作業補助者の業務とするのは無理があります。
外来において、医師事務作業補助者が窓口に座って業務を行うには無理があると言わざるを得ないでしょうが、病棟では医師も医師事務作業補助者もナースステーションで業務を行うしかありません。
ナースステーションで業務をするとなると、いろいろな方が訪れますし、ナースコールも鳴ります。さすがに訪ねてきた方の相手をしないわけにはいきませんので、これを窓口業務と呼ぶほどのことではありません。
しかし、いつもナースステーションのカウンターに座り、訪ねてくる方に一義的に対応するようであれば、これは窓口業務を言わざるを得ないと思います。
結論から申しますと、問題ありません。
処方せんの記載はあくまで医師が行うべき業務です。今まで行ってきた看護師や薬剤師はそれを医師事務作業補助者に準じた業務を行っていただけです。したがって、それを医師事務作業補助者が行うことは、本来の場所(医師)に戻しただけなのです。
《記事のまとめ》
重大な違反が発覚した場合には、診療報酬の返還などにもなりかねません。新しい業務の依頼があった際には、必ず管理者(指導者)に報告を行い、指示を仰ぐようにしてください。
医師事務の人数が多い病院では、なかなか報告が管理者まで届かない場合もあります。そのような問題も含め、管理者は医師事務実務者との連携をとりやすくするための方法を考えなければなりません。