胆のうという言葉は聞いたことあるけど、何をしてるところ?と聞かれるとちょっと・・・
そんな胆のうの病気についてまとめました。

 

スポンサーリンク

《胆のうの役割》

胆のうは、肝臓と十二指腸をつなぐ管の途中にあり、西洋梨のような形をしています。 長さは約10cm、幅は約4cm程度で、肝臓で作られた胆汁を50〜60ml溜めておくことができます。

 

胆汁は、脂肪を消化するために必要な緑色の液体で、肝臓で1日に約1L作られています。胆汁に含まれる成分は、胆汁酸塩、胆汁色素、コレステロール、ビリルビンがありが、そのおよそ90%は水分です。

 

肝臓で作られた胆汁は、食事をしていない時に肝臓から出て総肝管を通り、胆のうに入ります。胆のうでは濃縮(胆のうに溜められている間に水分が吸いとられ、5〜10倍に濃縮)されます。体内に取り入れた食べ物が十二指腸に到着すると、胆のうは筋肉を収縮させて胆汁を押し出します。そして、総胆管を通り、胆汁は十二指腸に注がれ、最終的には体内から排泄されます。このような胆汁の流れる通り道を胆道といいます。

 

《胆石症・総胆管結石症》

胆石は、胆のうや胆管内にできた結晶で、胆のうにあるときは胆のう結石症(胆石症)、胆管にあるときは総胆管結石症、肝臓内の胆管にあるときは肝内結石症といいます。日本では胆のう結石が最も多く約80%を占めます。

また、食生活の変化と高齢化により、胆石をもっていてる人が増えています。

 

原因はさまざまですが、主に脂質の摂りすぎや、細菌に感染することがあげられます。食事のときに脂質を取りすぎると胆汁の中でコレステロールが固まり、少しずつ大きくなり結石になります。また胆のうや総胆管が細菌に感染すると、胆汁の中の色素が変化して結石になりやすくなります。胆のう結石の60%はコレステロール胆石(コレステロールを70%以上含む結晶)、胆管結石ではカルシウム・ビリルビン結石(カルシウムとビリルビンの結晶)が主体となっています。

 

症状としては、胆石が胆のうの中にある時は何の症状もでません。胆石が胆管に移動し、小さいまま残っているか、小腸に流れ出た時も無症状です。しかし、胆石が胆管を塞ぐと疝痛(ひいては繰り返す痛み)が起こります。また、食後30分から2時間に右上腹部の痛み、吐き気、嘔吐が起こります。

胆石特有の症状としては、右上腹部を圧迫した時の痛みです。胆管が塞がり、感染が起こると、発熱、悪寒、黄疸がでてきます。(胆のう炎)

 

 

治療としては、手術と薬物療法があります。痛みの発作が繰り返し起こる胆のう胆石症には、石を溶かす薬や石を砕く方法(体外衝撃波結石破砕法)をとります。また、胆のう摘出手術も検討されます。

 

胆のう摘出手術は主に腹腔鏡下で行われるようになり、身体の負担も少なくなりました。胆管結石症には、内視鏡を用いた治療が主流となってきています。その主な方法として、内視鏡的乳頭括約筋切開術と内視鏡的乳頭バルーン拡張術があります。症状のない胆石症には治療の必要はありません。また、脂肪の多い食事を控えることで痛みの予防にもなります。

 

《胆のう炎》

胆のう炎には、炎症の程度によって種類が分かれています。

急性胆のう炎は、結石により胆のう管が閉塞してしまうことに続いて、胆のう壁の粘膜が炎症を起こすものですが、細菌感染が加わると重症化することもある危険な病気です。

カルタ性胆のう炎は、胆のうの内側の表面に軽い炎症が起こったものをいいます。

化膿性胆のう炎は、胆のう内の胆汁が濁って膿のようになり、胆のうの壁が腫れてきたものをいいます。

壊疽性胆のう炎は、強い炎症により、胆のうの壁の組織が死んでしまった部分がみられるものをいい、胆のうに穴があいて(穿孔)、胆汁がお腹の中にもれることがあります。

気腫性胆のう炎は、ガスを発生する細菌による特殊な胆のう炎で、胆のうの壁とその内外にガスが生じるものをいいます。

慢性胆のう炎は、急性胆のう炎の繰り返しによるものです。胆のうの壁が厚くなったり、繊維状に硬くなったり、胆のうが縮んだりして、機能低下が起こります。一般的に、症状は急性胆のう炎より軽いです。

 

また、胆石症の合併の有無で、胆石性胆のう炎と無石胆のう炎に分けられます。急性胆のう炎の多くは胆石によるものです。胆石が、胆のうの出口(胆のう頚部または胆のう管)を閉塞し、胆のう内に胆汁がうっ帯し、細菌感染が加わって発症します。

 

胆のう炎の起因菌は大腸菌、クレブシエラなどのグラム陰性桿菌が主ですが、バクテロイデスなどの嫌気性菌やエンテロコックスなどグラム陽性菌が増加しています。

 

無石胆のう炎の原因は長期の絶食、胆管閉塞、糖尿病、動脈硬化症、膠原病、肝動脈塞栓術(TAE)後の胆のう虚血などが知られています。

 

症状としては、食後に右上腹部や背中の激しい痛みや吐き気、嘔吐が起こります。一時的な閉塞では、軽い心窩部痛や吐き気が起こりますが、持続的になると右上腹部の痛みが強まります。その他、発熱や右肩、その周辺の痛みが現れることもあります。典型的な発作は2~3日で改善することが多いですが、改善しない場合には合併症も考えられるため、専門医を受診することが必要です。

 

 

治療としては、急性胆のう炎では、抗生剤を点滴して細菌感染を抑え、まずは全身状態の改善に努めます。その後、炎症や感染が落ち着いてから、必要に応じて手術治療を行ないます。手術治療は、胆のうを手術で摘出する治療で腹腔鏡や開腹で行います。胆石のよる胆のう炎の場合には、胆のう炎を何度も繰り返すことがあるので、胆石とともに胆のうを摘出することが根本的治療であり広く行われています。

 

そのほかに胆汁を外に出してあげる治療として、内視鏡的径鼻胆のうドレナージや経皮経管胆のうドレナージがあります。

 

《胆のうがん》

胆のうがんとは、胆のうや胆のう管にできた悪性腫瘍をいいます。
また、胆のうがん、胆管がん、乳頭部がんを合わせて胆道がんと呼びます。胆のうがんの高い危険因子として、膵・胆管合流異常があります。膵・胆管合流異常とは、膵管と胆管が十二指腸の手前で合流する、先天性の形成異常です。膵液と胆汁の逆流が起こることによって、胆道や膵臓にさまざまな病態を引き起こすことが知られています。

 

症状としては、初期の段階では無症状で、進行するにつれて、腹痛、嘔吐、体重減少、黄疸などが現れてきます。治療としては、外科治療が唯一治癒の期待ができる治療です。胆のうの壁にどこまでがんが進行しているか、また肝臓や胆管をはじめとした周囲臓器への浸潤があるかが重要になり胆のうのみなのか胆のうの周囲も切除するのかを検討されます。

 

胆のうの周囲も切除した場合、手術に伴う合併症がみられることもあります。切除が不可能な胆のうがんに対しては、化学療法が行われ、切除が不可能で他の臓器への転移がない場合は、がんの進行抑制目的として放射線治療を行う場合もあります。しかし、それぞれに対し、食欲不振や全身倦怠感などの副作用が起きる場合もあります。

 

また、手術・化学療法・放射線治療といった積極的にがんを攻撃する治療は行わずに、QOL(生活の質)の維持を目的として、がんに伴う身体と心のさまざまな苦痛に対する症状を和らげたり、自分らしく過ごしたりするための緩和ケアに専念する場合もあります。

 

痛みが強いときには、痛みの原因によって、医療用麻薬を含めた痛み止めを使ったり、痛みの原因となっているがんのある場所に対して放射線治療を行ったりする対症療法により、辛さを和らげることもできます。

 

《記事のまとめ》

胆のうの病気には胆石が多く関わっています。

食生活の変化と高齢化により、胆石をもっている人が増えている傾向です。

胆石を作らないためにも、その原因となる脂質の摂り過ぎには注意しましょう。

スポンサーリンク
おすすめの記事