大腸ってどんなことをするところ?と聞かれると、
便秘や下痢など、お通じに関すること!とざっくり答えることはできますが、

実際はどんなことをしているのか?そんなことを無意識にしてるの?

これを知ったら人間の生きる力ってすごい!と思えてしまいます。

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《大腸の構造って?》

大腸の長さは1.5~2mほどの管で、食べ物の最後の通り道です。小腸に続いて、右下腹部から始まり、おなかの中を大きく時計回りに回って、肛門につながります。

 

大腸は「結腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)」と「直腸(直腸S状部、上部直腸、下部直腸)」に分けられます。

 

大腸は、栄養素の消化吸収作用はほとんどなく、糞便を固くするために、水分と塩類を吸収する働きがあります。小腸で消化吸収された食べ物の残り(食物残渣)は、水分を吸い取られ、肛門に至るまでにだんだんと固形の便になっていきます。大腸での水分の吸収がうまくいかないと、軟便になったり、下痢を起こしたりします。

 

また、多量の腸内細菌を排泄し、細菌に対する防御機能もあります。そして筋肉の蠕動運動により、内容物を直腸に向かって移動させます。この運動は自律神経によって調節されていて、糞便は2種類の運動をしています。

 

1つ目の緊張波は、「前方に進んでは戻る」という行ったりきたりの動きをします。この運動により、大腸粘膜と内容物が長時間接触するようにして水分と塩類の吸収を促進させています。

2つ目の集団蠕動運動は、横行結腸を空にするように糞便をS状結腸に進め、S状結腸は、排便まで糞便を貯留します。

《大腸がん》

大腸がんは、結腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)・直腸・肛門)に発生するがんのことをいい、腺腫という良性のポリープががんになるものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。

日本人ではS状結腸と直腸にがんができやすいといわれています。

 

症状としては、大腸のどこにどの程度のがんができているかによって違いますが、血便、下血、下痢の繰り返しや便が細い、残便感、腹部膨満感、腹痛、貧血、体重減少などが多くみられます。

他の病気にも同じような症状があるため上記のような症状があるから大腸がんだ・・と思い込まずに診断確定のための検査を受けてください。

 

 

検査としては、まず便潜血検査(検便)です。便潜血が陽性であっても痔などの可能性もあり、あくまでもスクリーニング検査目的で使用されます。その検査が陰性であれば大腸がんの可能性はなくそこで検査終了となります。

 

しかし、陽性であれば精密検査へと続いていきます。精密検査で代表的なものは大腸内視鏡検査で内視鏡を肛門から挿入し大腸内部を観察します。検査の精度は高く、検査中に粘膜細胞を採取し細胞診のサンプルを採ることや大腸ポリープを切除することも可能です。その他の精密検査として注腸造影検査、CT断層撮影などもあります。

 

 

大腸がんの形態は肉眼で判定され0~5型に分類されています。0型(表在型)は早期がんに相当し、キノコ状に盛り上がった隆起型と盛り上がりが少ない表面型に分類されます。1~5型は進行がんで、筋肉層からその外側まで深く浸潤しているものです。1型は大きく隆起した腫瘤型、2型は隆起の中に大きな潰瘍を形成した潰瘍限局型、3型は潰瘍を形成し、潰瘍の周囲のがんの広がりと正常粘膜との境界が肉眼では不明瞭なもので潰瘍浸潤型、4型ははっきりした潰瘍は作らずがんが正常粘膜の中に染み込むように広く広がったものでびまん浸潤型、5型はいずれにも属さない分類不能のものになります。

 

さらに大腸の粘膜に発生した大腸がんは次第に大腸の壁に深く侵入し、やがて大腸の壁の外まで広がり腹腔内に散らばったり、あるいは、大腸の壁の中のリンパ液や血液の流れに乗って、リンパ節や肝臓、肺などの別の臓器に転移(遠隔転移)したりするのでこちらの診断も重要となってきます。

 

 

治療としては、観血的治療や放射線、薬物治療などがあります。観血的治療とは外科手術のことで、内視鏡による手術やお腹に数個の穴をあけて行う腹腔鏡切除術や局所切除、開腹によるものなどがあります。がんの発生部位によっては人工肛門(ストーマ)といって肛門のかわりに便の排泄の出口を造る手術もあります。この場合は、手術したから終わりではなく、ストーマのケアを行っていく必要があります。

また、術前放射線治療や術後薬物療法などがんの発生部位や進行度によって最適な治療法が選択されます。

《過敏性腸症候群》

過敏性腸症候群とは(英語表記ではirritable bowel syndromeの頭文字をとって「IBS」といいます)、お腹の痛みや調子が悪く、不快感に下痢や便秘などのお通じの異常(排便回数や便の形の異常)が数ヶ月以上続く病気のことをいいます。

男性では腹痛やお腹の不快感をともなう下痢型が、女性では便秘型になることが多いといわれ男女比では女性の方が多いといわれています。およそ10%程度の人がこの病気であるといわれており、よくある病気です。

 

また、年齢とともにこの病気は減ってくることがわかっています。命に関わる病気ではありませんが、お腹の痛みや便秘、下痢などの症状のために日常生活に支障をきたすことが少なくありません。

 

なぜIBSが起こるかというと、腸(小腸や大腸)は食べ物を消化・吸収するだけでなく、不要なものを便として体の外に排泄してくれます。そのためには、食べ物を肛門方向に移動させるための収縮運動と腸の変化を感じとる知覚機能が必要です。運動や知覚は脳と腸の間の情報交換により制御されています。

 

ストレスによって不安状態になると、腸の収縮運動が激しくなり、また、痛みを感じやすい知覚過敏状態となってしまいます。なのでIBSの方は弱い刺激でも腹痛等が起こってしまいます。

 

IBSになる原因は分かっていませんが、腸や脳、遺伝子の研究が盛んに行われているので原因が明らかになる日も近いのかもしれません。

 

 

治療としてはまずは生活習慣の改善です。規則的に食事を摂り、暴飲暴食、夜間の大食を避け、栄養バランス(刺激物、脂っこいもの、アルコールは控える)に注意したうえで、ストレスを溜めずに睡眠、休養を十分にとるように心がけます。

それでも症状がよくならない場合は、次に薬物治療を始めます。患者さんが下痢型なのか便秘型なのかで選択する薬も違ってきます。また、IBSの原因の一つとして食物アレルギーがあげられており、アレルギー除去食や抗アレルギー薬も有効です。 うつ症状や不安が強い場合、腹痛を和らげる作用がある抗うつや抗不安薬等も使用されます。直接的原因がわかっていないのもあるため、よくなったり悪くなったりを繰り返すこともあります。

《記事のまとめ》

自分の身長よりも長いものが体の中に入っている不思議。

 

仕事をしていても、遊んでいても、寝ていても休むことなく水分や塩類を吸収し便を作るだけでなく、ちゃんと肛門まで運ぶ運動機能まであって、それでもって無意識に行われているという。

 

パソコンみたいに誰かが設計したわけでもなく、生き残っていくための人間の進化でこうなったというすごさ。

 

それに不具合が起きた時に発生する病気、原因や治療法が確立しているものもあれば、原因が分からず症状だけを改善しているものも・・どちらにしても医療は日進月歩でとまることなく研究や治療は行われています。

今回は、大腸についてでしたが、他の臓器もそれぞれの機能、役割があり驚くことばかりですが、まだまだ人間の体は未知なことだらけです。

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