診療記録の種類にはどんなものがあるの?
診療記録用紙の種類についてまとめました。
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《診療記録の種類と内容》

 

診療記録は一般的には、入院診療記録と外来診療記録にわけられ、入院診療記録は医学的な記録と看護記録に分類できます。

 

法律上は、入院診療記録と外来診療記録をわけて管理することが規定されているわけではありませんが、日本の医療機関では、病院の規模が大きくなるほど外来患者が多くなり、外来患者の一部が入院診療を行うという現実があり、1人の患者の記録を外来から入院まですべて時系列に管理することが困難であるため、入院診療記録と外来診療記録を分割して管理している病院が多いです。

 

また、チーム医療の拡大とともに他の医療従事者の記録も作成されており、診療記録用紙の種類は多種となっています。こちらについてもできるだけ共有して診療記録を作成することが望ましいです。

 

《診療記録用紙の種類》

 

医療法施行規則第23条に診療録の記載項目がありますが、十分な内容ではなく、記載についても日本語の記載を義務付けているわけではありません。

 

しかし、医療の専用分化が進む中で、チーム医療の情報交換の道具としての診療記録の意義を考えると、できるだけ日本語で記載できる様式とすることが望ましいです。また、各用紙については、患者が特定できるようID、氏名の記載欄とその記録の責任の所在を明確にするために署名欄を設けることが望ましいです。

 

さらに、患者の紹介時、医師間で診療情報提供を行う際、診療録を複写して情報提供されることが多く、各帳票が自施設の記録であることを証明できるよう印字しておくことが望ましいです。患者から開示申請があった際、第三者情報の確認を行う時に大変重要となります。

 

《外来診療記録》

 

問診の記録や各診療科ごとの予診記録を作成します。記載方法については一冊の診療記録を全科で共有する場合と、各科単位で分冊する場合、医師と看護師、その他などにわけて記載する場合など、各病院によって異なります。

 

しかし、重複検査や重複投薬を事前に防止するという観点から、外来診療記録は、1患者1ID診療記録で、患者情報が一元管理できる形態が望ましいです。

 

 

《入院診療記録》

 

1号用紙(Top Sheet)

 

1号用紙は療養担当規則(療養担当規則8、22条、様式第一号)で様式が定められており、患者の住所、氏名、性別、年齢、傷病名、診療開始年月日、終了年月日、転帰のほかに保険者番号、被保険者証の記号・番号・有効期限、被保険者の氏名・資格取得年月日、保険者の名称・所在地、診療の点数など診療報酬請求に必要な事項の記載が必要です。

 

入院診療計画書(Admission Worksheet)

 

入院診療計画書は、平成9年の診療報酬改定時に入院初期に関係職種が協力して診療計画を作成し、早期退院への取り組み体制の充実とその計画を患者に対して文書で説明することを目的に作成が義務付けられました。

 

作成後、一部は患者へ、一部は診療記録に保存しなければなりません。

 

必要な情報は、氏名、患者番号、病棟、病室、主治医名、担当医師名、入院予定期間、病名、治療計画、検査内容および日程、手術内容および日程、看護・リハビリテーションなどの計画などがあります。

 

現病歴(Present ILLness)

 

今回入院となった原因およびそれに関連する傷病名や症状、入院までの経過などが記載されます。入院時診断、主訴(入院の原因となった患者が訴える症状)などです。

 

生活歴、既往歴(Past History)、家族歴(Family History)

 

  • 生活歴:性別、年齢、職業、趣味、嗜好品、出生地、生活場所などを記載します。これらの情報は、あらかじめ診療記録用紙として項目を印刷した帳票を使用することが望ましいです。
  • 既往歴(Past History):今までに患った疾病、その治療内容、治療の行われた期間、治療を受けた場所、治療結果、アレルギーの有無などを記載します。
  • 家族歴(Family History):患者の家族について、その健康状態および死亡などの状況に関する情報を系図的に記載する。特に、悪性腫瘍や糖尿病などの遺伝的要素の関連する疾患については必ず記載します。これは患者と疾病の関連についての因果関係を推察するもととなります。

 

現症および身体所見(Physical Examination)

 

入院時の所見であり、全身の状態および各臓器の状態について、臓器別項目ごとのチェックした結果を記載します。患者自身が特に問題と認識していない些細な症状をすべて拾い上げて全身状態を十分に把握することを目的に作成されます。チェック形式にすることにより、見落としを防ぐ効果があります。

 

 

問題リスト(Problem List)

 

今回問題となった診断情報を優位な順に箇条書きに記載します。また、入院経過中に発生した診断名、その他問題についても記載し、内容の修正が必要な場合は順次これをカイて問題解決の手がかりとします。これは当該診療記録の目次の役割を持っています。

 

 

初期計画表(Initial Plans)

 

問題リストに記載した診断名に対して、それぞれにこれから行う治療計画、検査計画を立てていきます。特に、入院中に当初の計画から治療、検査方針が大幅に変更となる場合は、再度「診療計画書」を作成し患者に文書で説明することが望ましいです。

 

 

手術記録(Operatine Record)

 

以下は手術記録に記載される内容です。

 

  1. 基本情報:手術日、術前診断根拠、手術の既往
  2. 術前処置:前投薬、浣腸
  3. 麻酔:麻酔の種類、麻酔薬名、麻酔名
  4. 手術:術式、術者、第1.2助手名、手術開始と終了時間、追加術式
  5. 出血量、輸血量
  6. 術中処置
  7. 術前、術中、術後所見
  8. 切除標本の病理組織所見、術後診断
  9. 手術記録作成年月日と署名

 

術後、迅速に記載されることが大切であり、術前、術後診断が記載され比較されることに意義があります。

 

 

麻酔記録(Anesthesia Record)

 

麻酔医によって作成されます。患者の手術室への入室から退出までに行われた処置および手術の内容および状態、麻酔薬名、麻酔施行時間、脈拍、呼吸数、血圧などが時系列に記載されます。

麻酔記録は、当日中に記載されることが大切です。

 

経過記録(Progress sheet)

 

患者の入院から退院にいたるまでの様子を時系列的に記載します。ここでは、患者の身体症状や兆候など、その時の状態、診察初見、手術・処置および検査所見、注射。投薬、その他の治療実施状況を記載します。

 

特に問題がないので記載しないという場合があるが、問題がなければ問題がないと記載する必要があります。

 

また、患者に対する説明内容もその都度記載することが必要です。その際、説明日時、説明内容、説明者、同席者などももれなく記載することが望ましいです。

 

医師指示記録(Doctor's order sheet)

 

検査、投薬、注射、処置、他の専門医への依頼や他の医療従事者への協力依頼など、担当医師が支持した内容を記載・署名し、指示の受理者と実施者の署名をします。

 

検査記録用紙

 

検査記録用紙には以下のような種類があります。

 

  • 病理組織検査報告書
  • 放射線診断報告書
  • 放射線治療報告書
  • 検体検査および生理検査報告書
  • 内視鏡検査報告書
  • 輸血記録
  • 供血者記録        など

 

《記事のまとめ》

 

  • 診療記録は一般的には、入院診療記録と外来診療記録にわけられている
  • 外来診療記録は、1患者1ID診療記録が望ましい
  • 入院診療記録は、医学的な記録と看護記録に分類できる
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