自動車損害賠償責任保険診断書は、自動車事故による負傷であることを証明し、必要な治療費を、加害者が任意加入している損害保険会社に一括して支払いを求めるために提出する医療文書です。

 

自動車損害賠償責任保険診断書の留意事項についてまとめました。

 

スポンサーリンク

《自動車損害賠償責任保険診断書》

一般的留意事項についてはこちらを参照してください。

 

 

自動車損害賠償保険は、自動車事故によって被害を被った患者さんの負傷・障がいまたは死亡に対し、必要な治療費などの補償を行い、また休業などに対してもその休業することによる損害を補償します。

 

医師の発行する自動車損害賠償責任保険診断書が、賠償価格決定の根拠となります。

 

一般的に行われている一括払い請求方法(任意保険会社から医療機関依頼)において、加害者の依頼により、保険会社が医療費を代行して支払う場合に、診療報酬明細書を添付して保険会社に提出します。一般的には、月単位で手続きします。

 

《各項目の説明》

[自動車損害賠償責任保険診断書のイメージ]

 

(表面)

  1. 傷病者住所、氏名、性別、生年月日:診療録に基づき楷書で正確に記載する。
  2. 傷病名、治療開始日:診療録に基づき、今回の交通事故による負傷の傷病名、治療開始日を記載する。既往症や加齢などによるものなど、交通事故に因らない傷病名は対象外である。負傷部位が多数にわたる場合は、疾患ごとに記載する。
  3. 「治ゆ」「と治ゆ見込」:医師の指示を仰ぐ。慰謝料や示談金などにかかわる内容なのでトラブルの要因になる。
  4. 病状の経過・治療の内容及び今後の見通し:診療録に基づき記載する。受傷日には、②の受傷の日(事故日)を記載する。受傷時の状況や傷病の状態、治療経過、治療内容、手術日、手術名、今後の見通しなどを記載する。
  5. 主たる検査・所見:診療録に基づき、②の診断の根拠となる検査結果、画像診断所見を記載する。
  6. 初診時の意識障害:該当項目を選択する。
  7. 既往症及び既存障害:該当項目を選択する。当該交通事故による障がいの治療上考慮しなければならない既往症などがある場合に記載する。
  8. 後遺障害の有無について:後遺障害「あり」の場合は、別に「後遺障害診断書」が必要となる。後遺障害の有無については、後日症状が現れることがあるので、必ず医師の指示を仰ぐ。
  9. 入院治療:診療録に基づき、療養期間の範囲内での入院期間と入院日数を記載する。
  10. 通院治療:診療録に基づき、療養気管の範囲内での通院期間と通院日数を記載する。
  11. 診断日:診断書作成に際し、診療期間の範囲内での最終診療日を記載する。(事後訴訟問題に発展した場合ポイントとなる)あわせて診療録への記載も重要である。
  12. ギプス固定期間:診療録に基づき、ギプス固定日とギプス除去日を記載する。固定具の種類にはギプスの種類(プラスチックギプスなど)を記載する。
  13. 付添看護を要した期間:診療録に基づき、付き添い看護を要した場合には、付き添い看護を要した日数と期間を記載する。
  14. 作成日:保険請求のためにこの書類を作成した日を記載する。(診断日以前の記載はできない)
  15. 所在地、名称:医療機関の住所、名称を記載する。
  16. 医師名:医師に最終確認を依頼(直筆のサイン・押印)
(裏面)
  • 受傷部位を明確に記載する。
  • 受傷部位について説明が必要な場合には余白に記載する。

    骨格の名称や部位は自動車損害賠償責任保険診断書の裏面に受傷部位を図示する上で必要な知識です!

     

    《記事のまとめ》

     

    診断書などの発行に際しては、医師法第19条第2項(診断書、検案書、出生証明書、死産証明書等の発行義務)のとおりですが、刑法第134条(守秘義務)に対して、「任意代理人」である場合は、必ず「委任状」の提出を義務づけることが肝要です。

     

    また、損害保険会社から診断書の依頼が来たとく、患者さんの同意書が同封されていない場合は、同意書の確認を行ってから作成するようにし、一時保留にしましょう。

     

    スポンサーリンク
    おすすめの記事