みんなはどうやって医療文書を作成しているの?

聞いてみたいけど、ちょっと恥ずかしい・・

あんなことやこんなこと、私が医療文書作成時に気をつけていること説明します。

スポンサーリンク

《退院時サマリー》

退院時サマリーは退院時要約とも言われ、患者の入院中の経過をまとめたものです。

 

この文書は医師事務にとっては難易度が高いものだと思います。

 

当院では医師事務は病棟回診等につくことはなく、退院してからその患者が入院していたことを知る状態です。中には、他の医療文書依頼があって先に情報が入っていることもありますが、入院中の全経過が分かった状態で退院時サマリーを作成するということはほぼゼロに近いです。

 

まず最初にすることは、なぜ入院することになったかを把握することです。どのような症状があって当院を受診したのか、診察の結果、入院目的はなにかを(検査目的なのか治療目的なのか)把握します。

 

入院時に肺炎等の診断がついている場合は、頭を一般的な肺炎の治療の流れに切り替えてカルテを読み込んでいきます。抗生剤は何を使っているか、酸素投与の有無等、医師記録以外の指示表も確認します。入院期間が短いものについては、ある程度頭の中でまとめられると思いますが、入院期間が長いものについてはなかなか経過をまとめることは難しいので、
別紙に箇条書きにしてまとめます。

 

また、痔瘻だったらどの種類か、がんだったら手術後のTNM分類を記載する等、疾患ごとに定型文を作成しています。

難易度の高い退院時サマリーですが、
私は疾患について勉強できる時間だと思って業務を行っています。

 

外来カルテより中身が濃い入院カルテなので、普段は耳にしない言葉が書かれていたりします。その時は、分からないからスルーしてしまうのではなく、

うん?!これなんだろう?

という感じで理解できるまで調べるようにしています。

 

調べるだけでは、なかなか身にならないので、すごくアナログかもしれませんが画像を切り貼りしたり、苦手な絵を書いてみたりして自分なりにノートにまとめています。それを繰り返していくうちにいつの間にか疾患について詳しくなっていました。

 

ここで少し問題があって、疾患分類ごとにまとめてはいるけど、どこに書いたか分からないことがたまにあります。なのでそろそろこちらも電子化にして検索できるようにした方がいいのかなと思っています。

 

なぜか電子化されたものだと頭に入ってこないんですよね・・。

 

少し話はズレましたが、
退院時サマリーを作成するのに気をつけていることは、できるだけ医師の言葉を使用するということです。

 

医師の言葉で作成していかないと、その医師の退院時サマリーじゃない気がするからです。

簡単にいうと、
いつも俺っていう人が急に僕っていうと、えっ?!って思いますよね、そんな感じです。

 

この退院時サマリーを作成するようになって全体的に医療文書を作成するスピードが上がった気がします。

 

定型文がまだ少ししかないので、今後はその種類を増やしていけたらと思っています。

《傷病手当金支給申請書》

この文書は、業務外の傷病により仕事を休んだ場合、その期間中の給与等が全額または一部が支給されない場合にその補償を得るために必要な文書です。

 

この文書で重要なのは労務不能と認めた医学的所見とその期間です。

この労務不能と認めた期間は通院した期間ではなく労務不能(仕事が出来ない)期間となるので、患者にちゃんと期間を確認しとく必要もあります。

 

この期間に記載されている期間で支給期間も変わってくるようなので注意が必要です。

 

全国的にいいのかは分かりませんが、当院より紹介して他院にて入院、手術を行い、その後また当院に通院した場合の他院での入院、手術の期間もちゃんと入院、手術の日程を把握している状態であれば作成が可能というのを最近知りました。

 

しかし、他院での入院期間、診療実日数の記載は不可ということでした。また、月の途中で一旦申請することは可能ですが、支給は分かれて支給されるようです。

《診療情報提供書》

この文書は、簡単にいうと医師、病院同士の手紙です。

なんの目的で手紙を書くのかで内容をが違ってくるのでそれを把握する必要があります。これは当院だけかもしれませんが、この文書が医師事務に依頼がくるのは、大体が当日か早くて前日です。この文書だけの業務ならそれでも何も問題はありませんが、複数の文書を作成しているなかでの依頼はその日の流れが変わってきます。

 

しかも、全部が全部医師事務が作成するわけではないので、医師事務に依頼がくるのは医師の気分次第というとこもあります。

 

医師、病院同士の手紙なので、いつもよくやりとりしているのに他人行儀すぎるものよくないですし、中には、研修医時代の指導医にこの文書を作成することもあります。その内容があまりにラフに記載すると

「なんじゃこの人は!」と思わせてしまうこともあります。

 

手紙=コミュニケーションの場でもあると思うので、言葉遣いにも気をつける必要があります。

《身体障がい者意見書・診断書》

この文書は、身体障がい者手帳を申請する時に必要な文書です。

 

当院では主に肢体不自由とぼうこう・直腸機能障がいに関しての文書を取り扱います。

 

まず、気をつけることは、疾患や外傷の内容により申請の時期が異なるということです。

例えば、脳血管でこの文章を申請する場合は、発症後6ヶ月が経過した時点で作成をします。その理由は、この文書が作成される診断日が発症より3~6ヶ月後の場合は、再認定として1年後に再度申請しないといけなくなるからです。

 

私が考えるには、それは発症後すぐでは病状が安定していることが少なく、リハビリ等を行うことによって障がいがよくなる可能性が考えられるからだと思います。

 

しかし、それとは反対で永久的な腸管のストマ等を造設した場合は、その造設した日から申請可能となります。なので作成依頼があったから作成するのではなく、
疾患や外傷によって作成時期が異なることも知っておく必要があります。

 

当院では肢体不自由の分に関しては、身体の関節可動域等は作業療法士又は理学療法士が計測し記載します。なのである程度の期限を設け医師事務が作成に取り掛かる前に記載してもらいます。

 

次に気をつけることは、主治医意見書と少し似ていると思いますが、疾患に対しての記載も必要ですが、どの程度の障がいがあるのかを記載することも大切です。

 

どれぐらい歩行ができるのか、麻痺があるのならどのぐらいの麻痺なのか、身体障がい者手帳では、担当が患者をみて最終的に何級ですと判定するわけではなく、この文書に記載されていることで判定となります。

 

客観的に患者が分かるように記載しないと後日問い合わせがある可能性もあります。
また、何級と判定するにもそれぞれの決まりがあるのでそれぞれの県で発行されているマニュアル等を確認された方がいいと思います。

《記事のまとめ》

どの文書を作成するにも、必要なのはカルテを読み込むことです。

 

しかし、中には医師の字が読めない・・なんてこともあると思います。
そんな時は、治療の経過から逆算して見てみると字が浮き上がったように分かることもあります。

 

そして、かなり初歩的なことですが、誤字、脱字に気をつける。丁寧な字で記載することを心がけましょう。
その文字を見ることで頑張っていることが医師に伝わる!なんてこともあるかもしれません。

 

文書に限らずどんな些細なことでも慎重、丁寧に行うことが大切だと思います。そういうところから医師とのコミュニケーションが生まれる可能性もなきにしもあらずだと思います。

スポンサーリンク
おすすめの記事