医師事務って言葉をよく耳にするけど、どんなことをするんだろう?
急に部署異動がありこれから医師事務として働くことになったけど、どんなことをするのか分からないから不安・・
そんな方に向けて、私が経験した医師事務の業務を説明します。
《医師事務との出会い》
私が医師事務として配属された経緯は、県から補助金がでるから!でした。
医師事務に配属される前は医療事務として働いていましたが、上司より医師事務の立ち上げがあるから部署異動の話がでていると聞かされ、抵抗することもできず医師事務となりました。
この時、医師事務として配属されたのは私と社会人1年生の2人で指導者として医療事務を長ーく経験した方が期間限定で配属となりました。
《文書作成》
まず最初に行ったことは、以前、手書きで医師が作成した主治医意見書のデータ化でした。
何百件もある主治医意見書をエクセルの書式にひたすら入力でした。なんてったって手書き・・医師の字が読めない。
筆記体の医師もいたり・・入力するだけなので忙しい医師にいちいち聞くことも出来ず、医師の字を見慣れている看護師に聞いたりしてなんとか入力していました。
今思うとこの時に医師の字をたくさん目にしたので医師の字をすらすら読めるようになったんだと思います。
今では看護師になんて書いてある~?って聞かれるぐらいまでになりました。
その後は、それぞれに担当の医師を決め、「診断書等の文書作成」でした。
保険会社に提出する文書(以下、入院手術証明書)はあらかじめ記入する項目が決まっているため(例えば入院主病名や入院経緯等)その項目に合わせて紙カルテに記載されていることをまとめて記入していきます。
医師事務1年生の私が作成したものをそのまま医師に確認していただくのはかえって医師の負担が増してしまうので、指導者に内容を確認していただき、外来診察時等に医師に最終確認と署名をしていただきました。
入院手術証明書の作成を継続しつつ、徐々に文書の種類も増えていき、医療要否意見書、主治医意見書、診断書等も作成するようになっていきました。
最初はすべて手書き作成をしていましたが、独自に書式を作成し少しずつ電子化を進め医師事務の業務負担も考えながら行っています。
また、少しずつ文書作成依頼が増えてきたため、進捗状況等が分かるように書類作成一覧として受付日、担当、主治医、作成日、医師確認日等が入力できるよう一元管理を始めました。
《スケジュール管理》
次に行ったことは、医師のスケジュール管理です。管理といっても秘書的なことまではせず、急な外出、休み等が生じた場合の関係部署に連絡するというものです。
医師事務がスケジュール管理を行う前は、医師との連絡が取れず、どこを探しても見つからなかったり休診の連絡がうまくいってなかったりとしていたようです。
どのようにしたらいいか分からなかったのでとりあえず急な外出等が生じた場合は必ず医師事務に連絡してもらうようにしました。
そこから関係部署に伝わるように連絡網を作り周知しました。しかし、医師事務への連絡を忘れて外出したり、他部署に伝えて外出したけどその部署内でとまってしまい周知されなかったり、誰にも言わずにいなくなっていたり・・他部署から医師の所在確認で不在が判明することも何回もありました。
その度に、医師に間接的に「連絡忘れてるよ~、外出してるのばれてるよ~」的な感じで連絡をとりました。
これを何度も繰り返していくうちに外出の連絡漏れが減り当日の医師所在が医師事務に聞けば分かるという流れができ始めました。
そしたら今度は、カンファや会議の日程を決めるのに先々のスケジュールも知りたいという要望があがるようになりました。
なので3ヶ月先のスケジュールを各医師に期限を設け所定の用紙に記入してもらうようにしました。
全医師が集まった状態で1つのスケジュール表を作成し、関係部署に配布しました。
3ヶ月先のスケジュールのため変更になることも多々ありましたが、これも当日スケジュールと同様に変更がある場合は医師の方から連絡がもらえるように変化していきました。
これで医師と各部署との連携がとれるようになりましたが、医師同士の連携がなかなかとれなかったため、医局内にホワイトボードを設置し当月のスケジュールを記入するようにしました。
当日の変更が生じた場合は、赤で記入する等、パッと見て分かるように工夫しました。
医局のレイアウト変更により一時はホワイトボードが撤去されましたが、医師からあれがないと分からない!と声があがり再設置となりました。
しかし、ホワイトボードでは連絡がある度に記入しにいかないといけないため、ホワイトボードから電子化へ変更していきたいと考えています。
《National Clinical Datebase》
手術や診療の症例を登録するNational Clinical Datebase(以下NCD)タイミングがよかったのか悪かったのか・・ちょうど全国的にデータ化が開始されました。
なので医師も含めこのことに関してはさっぱり分からない状態だったので、まずはNCDに関しての勉強から始まりました。
なぜNCDが必要なのかいつまでに入力しないといけないのか等・・ひたすら調べて施設登録や手順等を考えました。
手順としては手術症例のある患者の抽出、それからカルテを出し、各項目にあわせて所定の書式に手書き作成、その後医師に内容確認、署名をしていただきNCDホームページに入力し医師に承認作業をしていただくというものでした。
手術の内容によって登録する内容も違い、中には何十項目も記入しなければならなかったりするため手書き作成を続けるのは大変だったのでFilemakerを使用して独自の書式を作成しました。
当院では患者情報をFilemakerの機能を使って読み込むことができるので、それを利用して患者情報の自動化を行いました。この時はまだ業務量も少なく時間に余裕があったので、Filemakerについても勉強をしながら手探りで作成しました。
今は、患者情報以外は入力しなければいけないのですが、手書き作成よりは断然効率化されたと思います。
《秘書的?業務》
毎日の業務や講演会準備等、忙しすぎるのか整理が苦手なのかわかりませんが・・そんな医師より学会のパスワード管理、年会費支払い、参加証の保管等を行ってほしいと依頼がありました。
医師が自分で管理していた管理表をもらいパスワードが不明なものは学会に問い合わせたり再発行をしたりしました。
中には年会費が何年も未納になっており自然退会となっているものもありました。
管理表を医師と共有してしまうと医師がいつの間にか変更したり誤って削除されるなんてことも考えられるので、PDFの状態にして管理表を送付し、追加、修正があるごとに再送付という形をとっています。
次は参加証の保管です。
医師が学会に参加したら参加証を持ち帰ります。
なぜそれを大事に保管しないといけないかというと、専門医制度といって医師の質の向上を目指すための教育制度です。
簡単にいうと「俺、この分野得意だぜ!勉強してるぜ!」というのをみんなに知ってもらうためといった感じでしょうか。
その専門医になるのも容易ではなく、診療、手術件数や学会参加数等、様々な要件がありそれにクリアし面接、試験を経て専門医といえるようになるのです。
参加証は紙ベースのためただ保管しているだけではいざこの参加証がほしい!って時に探すのが大変です。
なので参加証をスキャンしタイトルを入力、データ化することにより探す作業を省きました。
今までの分が大量にあってので一気に行い、その後は医師が学会に参加したごとに医師事務へ提出してもらうような流れにしました。
がしかし!
なかなか参加証の提出がない・・そのまま紛失してしまうのは困るので学会に参加してから1ヶ月以内には医師に参加証の催促をする形をとっています。
《記事のまとめ》
はじめてのことをするのは不安がつきものです。私もこの業務をここに載せれるまでには長ーい時間がかかったしこのやり方が正しい!ってことはないと思います。
とりあえずやってみよっかな~!という感じで少しずつ勉強しながら業務を行っていけばいいのかなと思います。